高齢者の方、身体が不自由な家族と暮らす場合、将来自分たちが高齢になったときへの備えとして、快適で暮らしやすい家づくりは重要です。
そんな中、日常生活のサポートをしてくれるのが「手すり」です。とくに、トイレは一日の中で何度も使用する場所のため、使いやすいように最適な高さで手すりを設置することが不可欠になります。
トイレに手すりを設置する際の高さの考え方
トイレの手すりの高さについて、以下の2つに分けて考えます。
●便器の横にL字型の手すりを設置する場合
●便器の正面に横向きの手すりを設置する場合
それぞれ詳しく見ていきましょう。
便器の横にL字型の手すりを設置する場合
身体が不自由な方や高齢者の場合、足の筋肉が落ちていたり、お尻を持ち上げるのが大変だったりします。そんな時に役立つのが手すりです。手すりを使うことで立ち上がりやズボンの着脱を可能にします。
手すりの形や設置場所はいくつか選択肢がありますが、一般的なのは便座の横にL字型の手すりや縦手すりを設置する方法です。その際、設置する高さは、便座から220mm~250mmが適切と言われています。またL字手すりの曲がり角と便器の距離は150mm~300mmが適切となります。
人は立ち座りの際、重心移動を利用していますが、身体が不自由になったり高齢になったりすると、うまく制御できなくなります。とくに立ち上がりは、座る動作と比べて難易度が高めです。そこで前上方に手すりがあれば、自然に重心の移動を促され、立ちやすくなります。
便器の正面に横向きの手すりを設置する場合
トイレに手すりを設置する際、横だけでなく、便器の正面に設置するケースもあります。主な理由としては2つあります。
●トイレの横幅が狭く、横に手すりを設置する十分なスペースがなかったから
●身体が不自由な方が正面に手すりがあった方が動作をしやすいから
正面に手すりを設置する際は、縦手すりだと相当の握力が必要になり不向きです。そのため横手すりを用います。正面に横手すりを設置する場合の高さは、床面から600mm~850mm程度が適切と言われています。また、便座から手すりまでの距離が離れすぎると、支えにならなかったり、前へ倒れかかったりする可能性があるため注意が必要です。
トイレに手すりを設置するときのポイントと注意点
トイレに手すりを設置するときは、以下のポイント・注意点を考慮しましょう。
●本人立ち会いのもと設置場所や高さを決める
●トイレの使い勝手を確認しながら設置場所や高さを決める
●専門家に設置してもらう
それぞれ解説します。
本人立ち会いのもと設置場所や高さを決める
トイレに手すりを設置する際には、必ず本人立ち会いのもと設置場所と高さを決めるようにしましょう。先ほど、手すりの一般的な適切な高さを解説しましたが、使う人によって適切な高さは微妙に違います。身長や手の長さ、落ちてしまっている筋肉の箇所など、人それぞれのため、実際に使う人に確認してもらいながら最終的な手すりの高さを決めるのが最も重要です。
もし日常的にリハビリを受けている方であれば、専門家視点の意見も聞けるためリハビリの先生に見てもらえるとベストです。
トイレの使い勝手を確認しながら設置場所や高さを決める
トイレに手すりを設置する際は、トイレの使い勝手も確認しながら設置場所や高さを決める必要があります。
例えば、便器の横にL型や縦向きの手すりを設置するのがおすすめだからといって、幅の狭いトイレに強引に設置してしまうとトイレが使いづらくなってしまう可能性があります。
その場合は、トイレの使い勝手を損なわないためにも便器正面への設置なども検討すべきです。設置後に後悔しないためにも、使い勝手も意識しながら設置場所や高さを考えましょう。
専門家に設置してもらう
トイレの手すりはDIYで設置する方法もありますが、専門家への依頼をおすすめします。強度の低い位置に設置してしまったり、うまく設置できていなかったりした場合、手すりが外れるなどして事故や怪我につながる可能性があるからです。実際に「手すりにつかまって立ち上がろうとしたら、手すりが外れて転倒して臀部を負傷した」などの事例もあります。
できるだけ費用を抑えようとDIYでの設置を試みる方も少なくありませんが、事故や怪我を避けるために、DIYでの設置は行わないようにしてください。
費用はかかってしまいますが、命には変えられません。必ず、専門家に相談してプロに設置してもらいましょう。
手すりの設置をともなうトイレのリフォーム事例
ここからは、トイレに手すりを設置したリフォーム事例をご紹介します。手すりの高さに関しても参考になりますので、ぜひ参考にしてください。
将来を見据えたバリアフリー設計
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/renovation/case/details_062.html
お施主様のご実家が空き家になっており、リフォームして住めるようにしたいというご要望から始まった施工事例です。築40年が経過していたこともあり、ご実家は昔ながらの造りで、快適に住めるお家だとは言えない状態でした。そこで、リフォーム計画において間取り、収納スペース、生活スペース、断熱性などをすべて見直しました。
リフォームの結果、将来を見据えたバリアフリー設計でありながら、和モダンでおしゃれな住宅へと変貌しています。トイレに関しては、外出先から帰ってきたときにすぐ行けるよう玄関近くに設置し、介護が必要になったときのことを考えて広くスペースを取りました。手すりは少し高めの位置に縦手すりを設置しています。
三世代が暮らしやすい住宅へ
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/renovation/case/details_055.html
お施主様は、建て替えとリフォームで検討されていましたが、「思い入れのあった和室を残したい」という想いからリフォームを決断されました。今回のリフォームでは、夫婦世帯とお祖母様の三世代同居を考慮して、同居するお祖母様も生活しやすい間取りや動線を考えました。
お客様からは「バリアフリーに考慮していただき、おばあちゃんも含め家族全員が快適に過ごせています」とお喜びの声をいただきました。
コンパクトな回遊動線で快適な暮らし
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/renovation/case/details_012.html
はじめは一部老朽化した設備の交換のみを考えていました。しかし、お施主様のお話を聞いている中で、築40年ということもあり、各所に困りごとがあるとわかったためリフォームの提案を行い、計画が進み始めました。打ち合わせを何度も重ね、コンパクトな動線や家事効率の上昇、細部の利便性、和を感じられる憩いのスペースなどを実現しています。
トイレに関しては、同居する足腰の悪い祖父母様が使いやすくなるよう、広いスペースの確保と正面への手すり設置を行いました。
まとめ
トイレに設置する手すりの高さは、設置場所によって考え方が異なります。トイレの横に設置する場合は、便座から220mm~250mm、便器の正面に手すりを設置する場合の高さは、床面から600mm~850mm程度が適切でしょう。
トイレに手すりを設置する前には、本人の立ち会いのもと使い勝手などを確認しておくようにしましょう。実際にトイレへの手すりの設置を含めたリフォームを検討している方は、石友リフォームサービスにご相談ください。
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