「将来を見据えてバリアフリーな住宅にリフォームしたい」「同居する祖父や祖母に快適な暮らしをさせてあげたい」と考えている方は多いのではないでしょうか。
そんなときに重要な要素の一つが「トイレ」です。トイレは一日の中で使用頻度が高い場所です。トイレの使い勝手が悪いと、ストレスが溜まる原因となってしまいます。
そこで本記事では、自宅のトイレを車椅子でも快適に利用するために欠かせないリフォーム内容を中心に解説します。後半では、実際にリフォームした事例もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
自宅のトイレを車椅子でも快適に利用できるようにするには、次のリフォームを実施する必要があります。
●車椅子でも入れる広さを確保する
●ドアを引き戸にして外からでも開けられるようにする
●手すりを設置する
●滑りにくい素材の床材に変更する
●手の届く場所に洗浄レバーや洗浄ボタンを設置する
●トイレまでの導線のバリアフリー化も必須
それぞれの内容について解説します。
トイレを車椅子でも利用できるようにするには、ある程度の広さが必要です。幅は最低でも90cm以上の確保は必要で、快適にするなら120cm以上が望ましいです。奥行きは最低160cm以上の確保が必要で、180cm以上あると望ましいと言えるでしょう。ゆとりある横幅、奥行きが利用者の安心感につながります。
ただし、上記の幅や奥行きは自走できることが前提です。介助が必要になることを想定するとさらなるスペースを確保したいところです。
車椅子に乗ったままトイレに入る場合、開き戸だと車椅子を後退させながら扉を開く必要があり、非常に利用しづらいため引き戸に変更することをおすすめします。
また、万が一何かトラブルがあったときのために外からでも開けられるようにしておく必要があります。トイレ内での転倒や便器からの転落は、比較的よく起こる事故です。そもそも転倒・転落を防ぐ対策も必要ですが、もし転倒・転落した場合に備えておくことも重要ですので、トイレは引き戸にしておきましょう。
車椅子でトイレを使用する場合、衣服の着脱や便器への移動をスムーズにするために、手すりを設置しましょう。設置する場所の候補としては「横」か「前」です。横の方が使い勝手がよく、安定して体を支えられるのでおすすめです。横に手すりを設置する場合は、ある程度スペースが必要なため、リフォームの計画を進める際にしっかりと検討が必要です。
また、設置できる手すりの種類は「L字手すり」「縦手すり」「横手すり」があります。L字手すりであれば、縦手すりと横手すりの両方の役割を果たせるのでおすすめです。
車椅子に乗っている人の場合、転倒などに対してより注意が必要になります。先述したように、トイレ内で車椅子から転倒・転落する事故はめずらしくありません。そのため、滑りにくい床材への変更をおすすめします。たとえば、クッションフロアなら滑りにくく、耐水性やクッション性に優れているので、転倒予防に加えて転倒した場合のダメージ軽減効果が期待できます。
車椅子を必要とする人の中には体の状態によって、足だけでなく上半身や腕の動きも制限されている可能性があります。そんな状態を想定して、洗浄レバーを手が届きやすい場所に設置したり、洗浄ボタンを横に設置するといったことも検討が必要です。
自宅のトイレを車椅子でも利用できるようにするのであれば、トイレ内だけでなく、トイレまでの導線のバリアフリーも考える必要があります。具体的には次のような内容が挙げられます。
●すぐに行けるよう寝室の近くにトイレを設置する
●トイレ内の手洗いもしくはトイレの近くに洗面所を設置する
●動線にある段差を解消する
●動線となる通路の幅を拡大する
それぞれの生活スタイルを考慮して、使い勝手の良いリフォーム計画を立てることが重要です。
ここからは、実際に自宅のトイレを車椅子でも利用できるようにしたリフォームの事例を3つご紹介します。
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/renovation/case/details_062.html
しばらく空き家で使っていなかった、奥様のご実家をリフォームした事例。築40年が経過しており、将来を見据えるとそのままでは住むことができない状態でした。たとえば、収納スペースの少なさや有効活用できていない居室などが見られました。そこで断熱性の見直しも含めて、バリアフリーで快適なセカンドライフが送れる住宅を目指しリフォームをスタートしました。結果として、スペースを無駄にせず有効活用することでゆとりが生まれ、開放感のある住宅に仕上がりました。トイレも玄関のそばに設置し、車椅子でも利用できるように広々としたスペースを確保しています。
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/renovation/case/details_055.html
夫婦世帯とお祖母様の三世帯で住める住宅にすべくリフォーム計画をスタートしました。とくに動線にこだわり、コンパクトで効率的な動線になっています。お祖母様の寝室とトイレやお風呂、LDKの距離を近づけることで介護をする家族、お祖母様ともに負担が減りました。トイレは車椅子でも入れる広さになっているので、介助者である家族と入っても快適に使えます。リフォーム後にお施主様から「バリアフリーに考慮していただき、おばあちゃんも含め家族全員が快適に過ごせています」とのお喜びの声をいただきました。
出典:https://www.ishitomo-reform.co.jp/renovation/case/details_010.html
お施主様のお子様が就職するのをきっかけにリフォームした施工事例。家族も多いため、生活するには狭く感じていたようです。そこでお施主様の希望である「家族みんなに優しい家」の実現を目的にリフォームを進めました。
以前、鍼灸院を営んでおり施術用の部屋がありましたが、リフォーム前はすでに使わなくなっていたため、デッドスペースとなっていました。その広々としたスペースを活用して家族が集まれるLDKへと変貌。
また、トイレは車椅子で利用できるお祖母様用のトイレと家族用のトイレを設置しています。トイレの前もスペースを広く取っているため、移動もスムーズに行えます。
「要支援」または「要介護」と介護認定されている方であれば、自宅のトイレを車椅子でも利用しやすいバリアフリーのトイレにリフォームする際に介護保険を利用できる場合があります。
利用にはいくつかの書類を市町村に申請する必要があります。申請は事前に行う必要がありますので、どのような書類を提出しなくてはいけないのか、事前に調べておくようにしましょう。
申請が通れば、基本的に「20万円」の工事費が介護保険に適用され、その9割が最大の支給額になります。申請される方は「20万円」までは、何度かに分けて利用可能です。
ただし、要介護・要支援の区分が3段階上がった場合は、再び「20万円」までの工事費に対する介護保険の適用が認められています。
詳しくは専門家に相談してみてください。
自宅のトイレを車椅子でも快適に利用できるようにするには、トイレのバリアリフォーム化が必須です。ただし、バリアフリーリフォームは専門的な知識や技術が必要なので、実績豊富な専門家に依頼しましょう。
依頼する際には、実績の豊富さだけでなく、工事費用を明確に提示してもらえるか、現地調査をきちんと行ってもらえるかなどを確認しておくとよいです。
自宅のトイレを車椅子で利用する場合、車椅子でも入れる広さを確保する、ドアを引き戸にして外からでも開けられるようにする、手すりを設置する、滑りにくい素材の床材に変更する、手の届く場所に洗浄レバーや洗浄ボタンを設置するといったリフォームを行うことで快適に利用できるようになります。またトイレまでの導線のバリアフリー化も必須です。
実際にトイレやトイレまでの動線をリフォームしたい場合は、石友リフォームサービスにご依頼ください。バリアフリーリフォームの専門的な知識や技術をもっていますので、総合的な観点からご自宅に合ったご提案をさせていただきます。