前回のコラムの終わりに、結論付けて
「地震対策は、絶対に必要!!」
と申し上げました。
今回は、その内容が”次の世代にアドバイスする、これからの住まいづくりの地震対策”について、忌憚なく話そうと思います。
前回も申し上げましたが、今の、できる可能性があるものの中で、話そうと思いますので、時間が経って、素晴らしいアイデアを発見されれば、それはより良い地震対策になりますので、そちらを活かしていけば断然良いと思います。私も期待したいと思います。
まずは、自宅も被災したことから、現状が何故、地震に対して危険か?というところから、お話ししたいと思います。
ずばり、築年数によって、国の対策が違っている!ことです。
具体的に言えば、私の住むお家は、築52年で国の対策がありませんでした。そのあとで、主な大きな地震が発生して、そのあとで、耐震基準という、「新しいルール」が出来上がりました。
それは、大きな地震が出てきたあとに、被害が改めて出るたびに「改正」されて、今の「新耐震基準」になってきています。
ここで、その基準が新しくなったのに、なぜ地震被害がなくならないのか?という疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
それは、その基準がこれから建築される建物に当てはまるようにつくるからです。
これから建築される建物が住んでいる人の命を安全にする、というところに焦点をあてるので、それまで建てられている建物については、その基準が当てはまりません。
もちろん、規則として”古い建物”にも当てはめるように発表されますが、それは、強制的な縛りはなく、ほおっておけば私の住むお家のように、52年間、対策のないまま危険な状態が続いていきます。
今回の「能登半島地震」のニュースの画像を見ていても、倒壊した家屋が映し出されることが多くありますが、おそらく建築年数が古く、対策のされていないお家が、ほとんどだと思います。
※写真はイメージです。
どうにかならなかったのか?
と思ってしまいますが、リフォームされるときでも若い世代が手を加えたりしていますが、基本的には全物件のお家に当てはめることは不可能で、ルールとしては、建築確認の出されるお家、簡単に言うと、役所に提出される書類によって、新しい建築物として見られ、国の対策が反映される建物として、現れることになります。
基本的には、そのルールが施行されているのは、全物件に対してですが、すべてをリフォームして新しい建物に変わるかと言うと、管理できる範囲が限られてくるので、建築確認の必要ない建物がそこまで自前で耐震リフォームするということにはならないのです。
私の住むお家は、まさにその典型的なお家に当てはまりました。
ここからは、具体的にはどうすれば、地震に対して怖くなく、安心していられるか?という点に焦点を絞りたいと思います。
最初は、当たり前ですが、新築の家を建てることです。
これは、「新耐震基準」が守られており、地震に対して不安はないと思います。
ただし、新築となれば、例えば今までのお家を、建て替えることになるので、解体費用がでてきます。また、0からのスタートなので建築費用がまともにかかってきます。
つまり、費用の負担が大きくなってきます。
※写真はイメージです。
そもそも「耐震」の考え方としたら、地震に対してウィークポイントのある建て方、つまりは木造住宅、もっといえば木材在来工法の家が弱点として、揺れに対して弱いところからはじまっています。なので「耐震」という言葉も揺れに対していかに耐えうるか、という発想で技術が発展してきました。
そしたら、発想とすれば木造在来工法以外で建築、リフォームを考えればいいし、もともと既存の建物としては、こと地震に対しては心配がないのが特徴なので、そのまま住んで構わないと思います。部屋の間取りも充分なものであれば、今も住んでおられると思いますし、地震に対しての不安も少ないのが、率直なご意見だと思います。
日本で昔からあり、住宅の中で総数が一番なのが、木造住宅で、先ほど申し上げた木材在来工法の家が、総数としては多くの数がこの作りです。
なので、地震に対してウィークポイントがある作りだからこそ、「耐震」の技術が発展しました。
ですが、安心して進めたあとから、更なる地震が、それまでの住まいの技術を超えていくので、「耐震基準」が大きな被害が出たあとに、見直されて、今日に至るということです。
なので、新しい安心できる住まいというのは、「新耐震」の基準に即した住まいとなります。そうした場合、原則的にはお家の揺れに対する技術なので、それの技術を導入するならば、現在の壁や天井、床の面をリフォームしないといけなくなります。つまり、それを第1に考えるならばフルリノベーションになってきます。
大きな改修費用が必要になります。
この3つが大きく分けて、地震対策になると思います。
その他に、地震対策として、おしらせしたいことがあります。
それは、これまでの「耐震」の考えが万全を期していない、ということです。
この「能登半島地震」の速報を毎日、ニュースや携帯アプリで見ることがあり、その情報の質も、深い内容のものが数多く見ることになって「耐震」の考えは、揺らいできていると思います。
具体的には、「震度6弱の揺れに対して、建物が倒壊せず、人の命が守られる」という考えの下で「耐震」という技術が進化してきたはずでした。
でも、その考え方の弱点は、「何度も大きな揺れがきたときには、その限りではない」という考え方なので、「新耐震」のもと、新築している住宅が何棟も建っている町で、倒壊しているケースが大量にあるという事実です。
それを引き起こしている理由が「群発地震」ということです。
能登の地震は、今も大変大きな規模で連続して起こっているのと合わせて、2020年から奥能登を中心に、3年間の地震が大小ともに大量に起きていて、言うなれば「ボディブロー」のようにきていて、「耐震」の定義をもろくも崩しているということです。
もう「耐震」の考え方を変えないと、次の世代の安全は守れないということです。
※写真はイメージです。
実際に「耐震」の考え方と別に「免震」の考え方、施工方法があるということは、知っていますが、技術的に施工するとしたら新築だとしても費用がかかるということまで、知っていました。
「耐震」は揺れに対抗して耐えることで倒壊をまぬがれる、という考えなので、一度の大きな揺れには効果がありますが、あくまで「一度」の「耐震」の効果です。
「免震」の考え方は、揺れを中和するように、別の揺れるものを建物内に設置することになるのですが、理屈はそうだとしても、地震の多い地方でスタンダードになっているかといえば、そうではないと言えるのが、実情です。コストの面を含めて課題が残っているのではないかと思います。
こうして、見てくると木造の在来工法の家は、いいところもたくさんありますが、課題の「地震」については、一度の危機に対してはなんとか利用できると思いますが、そのあとの危機に対しては、問題点が浮かび上がってくると思います。
安心・安全を確立できるには、コスト面のことと、実際に他の工法の実例を、他のエリアから、学ばないといけないと思いました。
1月8日の時点で、まだまだ進行性のある「能登半島地震」。
被災地の実情や被災された方々の精神的に被る被害も大きいことは、他人事とは決して思えないものです。
だからこそ、この被害の解決策を何とか発信できれば、と考える次第です。
※写真はイメージです。
新しい解決方法が出てくることを期待したいと思います。